はじめに
近年、ビジネスニュースやITパスポート試験で頻出のキーワードとなっている「人的資本経営」。 漢字ばかりで難しそうに見えますが、考え方は非常にシンプルでポジティブなものです。
漫画で理解する

人的資本経営の概要
一言で言うと、「従業員を『コスト』ではなく『資本』と捉え、投資することで企業の価値を高める経営手法」のことです。
- これまで(従来の考え方):
- 人件費は「コスト」。
- なるべく抑えることで利益を出そうとする。
- これから(人的資本経営):
- 人材は「資本(資産)」。
- 教育や環境に「投資」することで、将来もっと大きな利益を生み出してもらう。
わかりやすい例え
会社を「冒険者のパーティ」だと想像してください。
- 従来の経営:「強い武器(最新のPCや設備)」を買うことにお金を使い、仲間への給料は「出費」としてケチっていました。
- 人的資本経営:「仲間のレベル上げ(研修)」や「特技の習得(資格取得)」にお金を使います。
仲間がレベルアップすれば、これまで倒せなかった強いボス(難しいプロジェクト)も倒せるようになり、結果としてパーティ全体が得られる報酬(利益)も増えますよね。これが人的資本経営の考え方です。
ITパスポート試験での重要ポイント
試験対策として、以下のキーワードを押さえておきましょう。
- 価値の源泉は「人」 モノやカネだけでなく、従業員の「知識・スキル・経験」こそが、企業の競争力を決める重要な資産であると考えます。
- 情報開示の流れ 投資家も「人を大切に育てている会社」を評価するようになっています。そのため、大手企業を中心に、人材育成方針や社内環境整備の状況を有価証券報告書などで開示する動きが強まっています。
- 具体的な施策例
- リスキリング:新しい技術や業務に対応するための学び直し。
- ダイバーシティ&インクルージョン:多様な人材の活躍推進。
- 従業員エンゲージメント:会社への愛着や貢献意欲の向上。
ITパスポート模擬クイズ(全5問)
第1問
人的資本経営の基本的な考え方として、最も適切なものはどれか。
A. 人材にかかる費用を管理すべきコストと捉え、徹底的に削減することで利益を最大化する。
B. 人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる。
C. 業務プロセスをすべてAIに置き換え、人間の従業員をゼロにすることを目指す。
D. 株主への配当を最優先し、従業員への教育投資は後回しにする。
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正解:B
解説:「人材=資本」と捉え、投資によって価値を高めるのが正解です。アは従来のコスト思考です。
第2問
人的資本経営において、重要視される施策として不適切なものはどれか。
A. 従業員のスキルアップやリスキリングの支援
B. 多様な人材が活躍できるダイバーシティの推進
C. 短期的な人件費削減のためのリストラ敢行
D. 従業員エンゲージメント(働きがい)の向上
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正解:C
解説:短期的なコスト削減のみを目的としたリストラは、人的資本(人材の価値)を損なう行為であり、人的資本経営の考え方とは逆行します。
第3問
人的資本経営への関心が高まっている背景として、関連性の低いものはどれか。
A. ESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)の拡大
B. 少子高齢化による労働力人口の減少
C. イノベーションの源泉が、有形資産から無形資産(人材の知恵など)へシフトしていること
D. コンピュータウイルスの感染拡大
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正解:D
解説:ウイルス感染はセキュリティの問題であり、経営手法のトレンドとは直接関係ありません。A、B、Cはすべて人的資本経営が求められる重要な背景です。
第4問
人的資本経営に関連して、上場企業等に求められている対応として適切なものはどれか。
A. 人的資本に関する情報の非公開化
B. 有価証券報告書等における、人材育成方針や社内環境整備方針などの開示
C. 従業員の個人情報のWebサイトでの全面公開
D. すべての従業員を個人事業主として契約し直すこと
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正解:B
解説:投資家が企業の将来性を判断するために、人的資本(人の育て方や環境)に関する情報の「開示」が求められています。
第5問
次の記述のうち、人的資本経営の「投資」に該当するアクションはどれか。
A コピー用紙の裏紙使用を徹底させて経費を浮かせた。
B. 従業員が最新のDX技術を学ぶための研修プログラムを導入した。
C. 残業代を支払わないことで、見かけ上の利益を増やした。
D. 老朽化した工場の機械を、中古の安い機械に買い替えた。
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正解:B
解説:従業員の能力向上にお金や時間を使うことが「人的資本への投資」です。
